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 * 駄文*

>>> 注意

アイザックと教授、そして、12歳のケイトあたりが出てくる青春小説(ほんとかよ)    
ついでに、キャサリン・ラングとゼベット・ガリバリディもいるような話    
だめなヒトな読まないでください・・・・・・・・・・・・・・
>>> 手袋  


その2
  「ウィルっ。ウィリアム~!!」
彼がさって数分後。甲高い声のそばかすの女性がはいってきた。
キャサリン・ラング。女性にしては珍しく航空工学を得意とし、研究熱心だ。
色白の頬に、大きな瞳。頬にはそばかす。しかし、そばかす美人がいるとしたら、
それは、彼女のことだろう。その、そばかすは、彼女の魅力を存分に引き出しているほどだから。


開けっ放しになっていた窓を閉めようとして、あ、と思いつく。
いつも、彼女の航空工学、空への憧れ、操縦をとくに熱心に聞き入れ、学び取ろうとする
その少女、ケイト・スコットは今日は学校だったことを思い出す。

「このところ、ウィルに微妙なものを試食させられたから・・・・なんかこう、胃にやさしいお茶をお願いしようと思ってたのになぁ」
とつぶやきつつ、自らお湯をわかした。

www製と刻印されたぴーとなるやかんがお湯が沸いたことを知らせる。
ケイトがおいていったお茶を煎れると、部屋にハーブティーの香りが広がった。
一息ついて、ソファに座り込み脚を組んだ。
「失礼しますよ」
上品な紳士的な声がし、その声の主へ顔を向けた。
真っ黒い長い髪は、朝、この休憩室でキャサリンが結わえたままになっている。
ケイトがハーフリネンの生地を使って刺繍を小さく施した、ちょうどよい大きさのハンカチがあったからだ。
黒々としたその髪としわひとつない白衣に身を包み、長身で細い四角いふちなしのめがねを
かけたその男、アイザック・バトラーは、白衣では、この控え室が「細菌でよごれるから」と
笑いながら嫌がるキャサリンのために、部屋には入らないでいる。
白衣のポケットからまだ、実験の途中なのか、ゴムのぴったりとした手袋がみえる
サイズ7.5のゴムの手袋・・・・・・・大きな手。


アイザックの目を見つめると、その眼鏡の奥からは、なにもわからない。
その寂しい気持ちを覆いかくすように、キャサリンはつとめてあかるく笑いかけた。
「ウィルなら・・まだ着てないわ。私も探しているのよ」
そういうと、紅茶のカップに目を落とした。
  「今日は、ケイト嬢もお見えにならないし、寂しいですね。」とポツリいい
「髪を縛っていると、実験の邪魔にならずにすみましたよ」

キャサリンの気持ちをまるで見抜くかのように、そういう.
その視線に怖くなったキャサリンは、話題を変えた。そう、この男、アイザック・バトラーは、
どこまでも、やさしくて紳士だ、でも、何かを抱えている。大きな大きな、闇のような
炎のような・・・それがキャサリンにとって、もう一歩だけ、踏み込めない理由でもあった。

・・・・いや、踏み込ませないのかもしれない・・・・

「ねえ、そういえば、アイザック、あなた、ウィルの作った、あの、お湯を入れて・・・」
いつものように、話題を変えて、ウィルの奇妙な試作品について話だした。
「ええ、私も食しました。お湯と生卵をいれて5分・・・・・」
アイザックは、口元に小さく笑みを浮かべた。
「私はもうこりごりですが、どうやら、ゼベットはかなり気に入ったようですよ」
アイザックも、ウィルの餌食にあったのか、と思いつつ、ゼベットにいたっては
お湯を入れると数分して、麺がふやけ、味つきになる、奇妙なジャンクフードに夢中になってたとは・・・・
「やっぱり、変わり者は変わり者がすきなのねえ・・・・
あっ。アイザック、あなたの使ったコルベン、ちゃんと洗ってなかった。なんかピンクのにゅるにゅるしたものが残ってたわ!!」
「それは、それは・・・・でも、キャサリン、コルベンでお湯を沸かして、紅茶を煎れようとするあなたも、あなただと思いますけど・・・・・・」

アイザックは、やっとその眼鏡の奥に光をやどし、自分の立場があぶなくなると
「では、私はもう少し、仕事してきますので」と白衣を翻していってしまった。
ほんの少しだけ、シガリロの残り香が長い髪を通してキャサリンの鼻をつんとさせた。