ハロウィンネタ。カテ様は変なものが好きでってことで

□ ミニスカート □

「というわけなんです、ペテロさん、あなたしかいません」

方舟対策室(仮題)の決して大きくはない、極秘会議を行う部屋。 その真ん中の会議用テーブルには、ジェーンからの預かり物の、箱がある。
もちろん、中身はミニスカートと、ショッキングピンクをした、毛糸のパンツである。

そして、ジェーンからのメモ。
  「ミラノ公を悦ばせて差し上げて。
   なお、当日、あたくしは、おりません。ビデオ撮影はシスターケイトにお願いしてあります」
という達筆。そして、羊皮紙には、ジェーンのプライベート用の蝋印の判が押されている。
・・・・・・・・・羊皮紙・・・・・・公式文章なのか?プライベートなのか?全く
ジェーンさんのやることってわかんない・・・・・・でもチョコチョコ。 これが、今、アベルの情けない原動力でもある。

2mの水色の髪の持ち主、ブラザーペテロと、190cmはあるアベルが立ち上がってにらみ合う。
そこへ割って出たのは、収まりの悪い黒い髪、細い目元は穏やかに笑っている、 温和そうな青年、ブラザーマタイである。

  「アベルさん、よく考えても見てください」

手をいつもどおり、顎にもってゆき、哲学者のように諭す
  「どう考えても、このサイズ、局長の腰に入るとは思いません。ましてや、こちらの毛糸のパンツ・・・・
  熊が熊じゃなくなるどころか、顔が崩壊します、まぁ要するに、敗れて、壊れるってことです。
  所詮、神によって許されたもののみ、生き残るわけですけど・・・・はれるや」
と、冗談なのか、真剣なのか全くわからないことをいって、阻止する。

そこへ、パウラがきっちりと秘書よろしく、説明する
「マタイの言うことを簡単に述べさせてもらいます。
局長のウエストのサイズでは、このスカートを履くという行為は無理かと。
毛糸のパンツも、いくら、エリン公の経営するメーカーの新作、強力加工されたこの美しい毛糸を
使用して、作られたとはいえ、やぶれます。常識で考えてください」

冷酷な、有無を言わせない言葉と、そして、何よりも、愛するものを守るような言動に、 アベルはある意味、感動を覚えつつ、愕然とし、テーブルの上のスカートに目をやり、
もう一度、ペテロを見つめ返す。
ペテロはそれとなく、アベルの視線をはずし、スカートを見つめる。

「うぬぬぬぬ、マタイ、パウラ、某、亡きフランチェスコ様の御妹君ミラノ公のため、はかなければならぬ、 それが武辺たる某の務め、聖務だとおもっておる。
そして、これをしなければ、某、一生の恥かと思っておった。
しかし、どう考えてもサイズ的に入らないに等しいのだが・・・・・・・・・・」

と、二人が一生懸命アベルへ熱弁を振るって断りをいれたのを、否定してるのか肯定してるのか、全く わからないような回答をする。
そんなペテロを一瞥しマタイとパウラは
「結局、局長ははきたかったのか・・・・・・・・」と目線でやりとりしはじめた。
「履いたほうが一生の恥だと思いますが・・・・・」
とこそこそ言い合っている。

アベルはがっくりし、
  「本物の化け物になるところだったのに」と聞こえないように、とうらめしそうにペテロへと言う。

しかし、希望はまだある。というより、みなの視線がひとつに集まる。
アベルの隣に座っていた、イオン・フォルトゥナである。
イオンは、かなり、眉毛をあげて、ヘイストでもしかねない様子である。
当然だが、サイズはイオンのその少年のようなほっそらした腰にはぴったりだろう。そして、 そのかわいらしいパンツは・・・・・お似合いだ。ぷぷ、これなら、エステルさんもあきれて、 イオンさんとは、仲良くしまい・・・・・・・
「イオンさんっ。」
それを言わせないよう、アストが割ってはいる
「帝国がなくなったとはいえ、われらは誇り高き、帝国貴族だ。
アベル、いくら相棒とはいえ、馬鹿なことをイオン・フォルトゥナにお願いするのは、やめてもらいたい」
アベルを含めた、男性陣は、イオンの隣に立ちあがって抗議している この長生種の美女、アスタローシェ・アスランの持つ、極上の肢体美をを想像するが、
女性であるミラノ公が見ても別に喜びはしないだろう。
ジェーンでもあるまいし。
という意見が全員一致で脳内決定し、アベルを目で制する。

そして、アスト自身は、長身であるがゆえ、このミニスカートというより、 マイクロミニになってしまう、しかもショッキングピンクの毛糸のパンツなんぞ、はきたくないと
本来持つ、帝国貴族の気持ちが全身に、立ち込める。
「短生種」「外」の研究に熱心であったアストではあるが、ああ、やはり、アベルはちょっと・・・と やはり、理解しがたい(したくない・・・)
これが、今は亡き、我らが母にして、すべてであった、女性の兄なのかと思うと
がっくりし、この間抜ぶりは今にはじまったことではないが、再認識してしまったこと、 そして、半戦闘態勢にたっている、イオンを制することで、怒りの目線を向ける。

肩を落とすアベル。
もちろん、サイズ的にも、雰囲気的にもお似合いなアンデレさんは、
長期任務中につき、しばらくは、ロンディニウムに帰る予定はない。

ああ、ジェーンさんとの約束が・・・・・・
と、沈黙が重なるなか、ドアがあく。
なんとも、軽いノリで、アタマが壊れているんじゃないか、という 軽薄ぶりの声が聞こえた。

  「みなさん、おひさしぶりぃぃ。何暗くなってるの??」
顎まである、茶髪。相変わらず、茶色のパンツに、オレンジ色したニットを着込み、 さらに、その上に、紺色のジャージ生地のジップアップシャツを着込んだ軽薄を絵に描いたような青年、
アントニオ・ボルジアが入室してきた。


  「実は・・・・・・・・・・」
アベルは、この軽薄な青年の博識さというより、悪知恵の働きぶりに、頼ろうとした。
  「なんだ、そんなことなの?簡単じゃん。ココロの友よ。ボクにまかせてヨ」
つづく

    
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