□ ミニスカート □
ハロウィンも間近のとある秋の夜。
ジェーンは、アベルをこっそりと呼び出すと、ひとつの包みを渡した。
「あけてよくてよ」
ジェーンのプレゼントに小躍りするアベル。
包みを解くと、ものすごく短いスカートに、毛糸の熊柄のパンツが入っていた。
スカートは薄れたデニム生地に、裾の部分がオフホワイトのアンティークレースが縫い付けられている。
台形の形をしたスカートだ。ただし、膝上10cmというところか。
「もうすぐ、ハロウィンでしょ、このスカートを使ってどなたか、あのミラノ公を笑わせてさしあげて」
ジェーンの言動というよりも、スカートをはいたエステルを
思い浮かべて鼻血が出そうになるアベルは, ミラノ公と聞いてさっと血の気がひいた
「最近、ちょっと彼女、寝込んでるでしょ。季節の変わり目はあの病にはつらいことでしょうし」
つとめて貴族らしいクールな表情を崩さず、しかし声音は、やさしい。
そして、さらに、言葉を紡ぐ。
「このスカートとくまパンツを使って、ミラノ公を爆笑させたら、チョコレート一年分をさしあげます」
・・・・・・・
要するに、ハロウィンパーティでもして、ミラノ公を元気にさせろ、という指令ではある・・・・・・・
「でもなんで、スカートなんですか??」「かぼちゃは??」という
二つの突っ込みをいれる間をアベルに与えずに、
ジェーンはその妖艶な手つきでくまのパンツをさらりとさわり、
さらに、綺麗に整えられた爪でアベルの胸元をひとなでする。
「どなたがはくのかしらん」
クールな表情とはうってかわって目つきだけは、いたずらを思いついた子供のように潤んでいる。
でも、ある意味、あの人がこのスカートを履いたら、化け物かも・・・・・・・
と身長2mの水色の髪の持ち主を思い浮かべて、ニヤニヤしたアベルであった。
2005.8
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