* 駄文*

>>> 注意

アベエス+イオン 帝国への旅の途中だと思ってください。
>>> 手袋

夜の風は生暖かく、闇はどこまでも続く。

満天の星空のした、いびつな形をしたほうの月をアベルはみつめながら、
自分の心にわいてきた、感情を否定しながらも、否定できずにいる・・・・・・
もう、ずいぶんと前にこんな気持ちは忘れていた・・・・・・

これは、嫉妬なのか??

頭をふり、満天の星空をもう一度見上げた。

カテリーナさんが、私をあの地底から引きずり挙げてくれた、
あの豪奢な金髪と同じ太陽ならば、
星を意味する名の持ち主、エステルさん、あなたは、いったいなんなんだろうか・・・・

この瞬く無数の星のように、ひとつひとつのまたたきは小さい。
よく凝らしてみない限り、見えないものもある。本当に見えないもののある。
そして、宇宙は限りなく広くて、その中で、生まれたばかりでもあれば、死に行くものもある。
でも、今、私が見ているこの無数の星は、そう、ずっと、ずっと、昔に誕生したもの。。
   「あの日」から・・・いや、それ以前からもずっと輝いている星なのだ。   
星。 
あなたは、無限であり、有限であり、小さくもあり、無数でもあり・・・・・・・・

思考が混乱してきたところで、懐中時計を見ると、
かれこれ、1時間もたっていた。
そろそろと、デッキの扉を閉めると、部屋へもどる。

イオンはエステルに、エステルはイオンに、と互いの肩を借りるようにして、うとうとしていた。
イオンは、いつ、「覚醒」したのだろう・・・と思わせるような子供のような
表情に思えたが、「相棒」を無くし、苦労を重ね、少し大人びて見えなくもない。
はたからみたら、お似合いの美少年、美女のカップルではないか。
アベルは、二人の様子をみて、エステルの手から、落ちかけている小さなノートを拾うと、テーブルにおく。

そして、イオンを抱えると、シャツのボタンを数個外して首元をゆるめると、
ゆうにアベルの長身で届く、二段ベッドの上へそっと運び、ゆっくりと横にさせた。
毛布をかけて、イオンの寝息を確かめるようにして、
 「お疲れ様です」
と一言、帝国語でいう。

   支えていた肩をなくしたエステルは、寝ぼけている。
   「コンバンハ。めんふぃすはく」と帝国語をしゃべっている。
   「今晩は。エステルさん」アベルも、流暢に帝国語で答えて、はっとする。
・・・・・寝言を言っている人に話しかけちゃった・・・・・
「コヨイはよいツキがでていますね」エステルは、まだ、帝国語だ。
「いいえ、エステルさん、空は満天の星空でしたよ。綺麗でしたよ」
そして、ためらうように言う。

「あなたのお名前のように」
 
アベルは帝国語で語りながら、エステルをベッドへ横にしようとした。
それをさえぎるかのように、寝ぼけながら、エステルは、尼僧服の首元をゆるめ、ブーツを脱いだ。
最後に、手袋を外したところで力がつきたのか、
そのまま、ベッドへ、ダウン。すうすうと寝息を立て始めた。

エステルの手から、小さなそのはめていた手袋が力尽きたかのように、床に落ちた。
それを拾い上げて、その華奢な指をみつめた。
 「あ〜あ、女の子が・・・すり傷だらけで」
エステルの手は、小さくて、そして、あちこち、生傷が耐えない。足もそうだ。
一緒に、逃げ回ったり、転んだり、時にはかばったり・・・・・・・
そして、恐怖の運伝をしたり。(あのときは、本当にこわかった・・・)

そういえば、カテリーナさんの手って・・・・・みたことないけど・・・・・・・
いつも、爪を綺麗に研いでいたなぁ。
色とか、あまり覚えてないけど、何か塗っていたなぁ・・・・・・・・・・・・・・

美しく磨かれた爪より、この生傷の耐えないエステルの手のほうが、
今の自分には、美しいと思える、そんな感情をおさえつつ、
エステルの手袋をそっと手にしてみた。

  「ここでこの手袋をはめてみたら、俺、あ。私、変態?」

と思いながら、エステルの手袋をはめようとするが、あまりの小ささに驚いてしまった。
こんな小さな指が、こんな小さな手の甲が、必死になにかを、
そして、自分をイオンを助けようとしてくれている。
 
  「私はあなたの味方です」

 あの日、私はあなたにいいました、でも、今もそれは同じです、
でも、エステルさん、あなたは、私の見方なんですね。

私を守ろうとしてくれているその小さな手。
その小さな手にそっと触れると、もう一度、いう.

   「私はあなたの味方ですから。これからも」
 発した言葉は、流れるように美しい帝国語の発音。



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