□ ミニスカート □

残されたエステルは、みなのティーカップを片付けてから、
 「トレス神父様、なんだか、かわいかったかも」
とくすりと笑って、ケイトを呼び「ウィリアム博士を呼んだほうがいいのかしら?」と問う。
画像が結ばれ、ケイトは、にっこりと笑い、
「ウィリアムは、今、ユーグさんと、ファナちゃんのところなんです」
と言う。
「おそらく、レオンさんに頼まれて、何か、差し入れをしているのでしょう」
といいながら、お茶を勧めた。
「カテリーナ様、お怒りかしら・・・・・・・・」
なかなか戻ってこない二人を思いながら、エステルは、つぶやく。
ケイトは、その問いには答えず、ニコニコしながら、
「さあ、エステルさん、あなたも、お部屋に戻られたほうがよろしいのではなくて。 カテリーナ様、お仕事に関しては、やっぱり、厳しい方ですしね。それに・・・・」
「そうね、邪魔しちゃ、悪いもんね」
といいながら、
   「ご馳走さまでした。それにしても、トレス神父様も お菓子を食べられたらいいのにね」
とペテロが持ってきた籐の籠に入ったお菓子やら果物を見てつぶやいた。


数日後。
カテリーナは何も言わず、ごく普通に出勤した。
方舟対策室(仮)の会議室にある黒板には、「ミニスカート事件」と小さく議題が書かれていて
なぜか、いつものメンバーが勢ぞろいしながら、かえってこないウイリアムと ユーグについて噂しあっていた。
しかし、もっぱらの話は、トレスのメンテに関してだ。
あれから、何日すぎたのだろうか。何事もなかったかのように、 甲斐甲斐しくカテリーナのそばにいるトレス。

「やっぱり、トレスは壊れているにちがいない、メンテナンスを」
アストは全く、短生種は、信じがたいことをする、という目でアントニオを見つめる。
アントニオは、アントニオで、
「あ〜あ、なんだか、もしかして、ボク、ますます、あの二人をラブラブにしちゃったのかなぁ〜」
と枝毛を見ながらつぶやく
「・・・メンテナンスが必要なのは、ボルジア枢ではなかろうか」
「うむ。某もそう思う」
こそこそとイオンとペテロがつぶやいている。

静な麗しい笑みを顔に浮かべてカテリーナは入室する。
「みなさん、この間は、お見舞いをどうもありがとう」
と極上の声でお礼を言いながら、自分の執務室へと向かった。

「ああ、主よ、やっぱり、カテリーナさんは怒ってます」
アベルは、カテリーナの手本のような挨拶を横目でみて、十字を切った。
「でも、カテリーナ様って結構、ミニスカート、似合いそうよね」
とアベルを一瞥するエステル。悪意がこもっている。
「やっぱり、エステルちゃんも、そう思う??」とアントニオ。
そして、カテリーナのそのすこし揺れている肩を見ながら、アベルは天を仰ぎ見る。
当然だが、その後ろには、トレス。もちろん、彼も何事もなかったかのように、 カテリーナに付き添う。

カテリーナは、さめざめとして、あせっているみなの姿を見て、扉を閉めてから くすりと笑い、エリン公の部屋へと向かう


  「もう風邪は、よくなって?」
貴族特有のポーカーフェイスとは裏腹にその艶っぽいその声は、心からの心配に満ちている。  
「ええ。あなたのおかげですわ。それに」
とエリン公に近づくと、耳元で小さくささやく
  「この遠赤外線のクマさんパンツ、冬に向けて、もっと量産すべきです。あたたかくてよ。そうね、色は、蛍光緑とか、蛍光黄色とかいいかもしれませんわ」 といい、部屋を後にした。

「あのパンツを履いてるのをみたのは、トレスだけなのかしら・・・・・ハッキングしてるはずの、ケイトに聞かなくちゃ」
おわれ。 2005.9.19
     
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